『バーチャル実験で体得する 実践・品質工学』

 本日は創造技術専攻の越水重臣先生が執筆された図書を紹介します。表紙には「本書で使用するソフトウェア『バーチャル実験シミュレータ』は無償でダウンロードできます」と記載されており、単なるテキストではなく実際に実験をすることを通じて品質工学を「身に付ける」ことができる構成になっています。

バーチャル実験で体得する実践・品質工学

バーチャル実験で体得する実践・品質工学

 越水先生からいただいたコメントは以下。

 品質工学を勉強したいが、何となく難解そうだと思って手がつかない人や品質工学を勉強してみたが、実務では使えていないといった人は多くいるのではないだろうか。筆者は、品質工学の手法を実務で使えるようにするには、座学と実務のギャップを埋めるような教育効果の高い体験学習が必要であると考えている。しかも、その教材の中には、品質工学・タグチメソッドのエッセンスがすべて含まれていなければならない。そのエッセンスとは、以下の通りと考えている。

  1. 品質ではなく機能を評価する(静特性から動特性へ)
  2. パラメータ設計で技術の機能限界を把握する
  3. テストピースで実験を行う
  4. 直交表を使い、利得の再現性を調べる
  5. 適切なノイズを取り上げ、調合する
  6. 生データではなく、SN比と感度で評価する
  7. 2段階設計によりチューニングをする
  8. 品質とコストのトレードオフをする

 これらエッセンスがすべて含まれており、それらを体験学習できるのが、拙著「バーチャル実験で体得する 実戦・品質工学」である。体験学習にあたっては、パソコンが1台あればよく、他に特別な実験装置を必要としないため、誰でも容易に取り組むことができる。その内容は、本書の「実践編」に書かれているが、企業における開発業務を物語風にして話が展開されるので読者を飽きさせずに最後まで導いてくれるはずである。

 また、まったく初めて品質工学を学ぶという読者のために、本書の前半に「解説編」を設けた。品質工学の考え方から始まり、品質工学の中核的手法であるパラメータ設計ついてわかりやすく解説したつもりである。

 本書は、解説編から実践編へと順序よく読んでもよいし、その逆で、実践編で体験学習をした後に解説編を読むことで理解度をアップさせるという学習スタイルをとることもできる。もちろん、解説編と実践編を行ったり来たりしながら必要なことを学んでもらってもよい。とにかく本書を読むことで、品質工学の有用性を少しでも多くの人に知っていただけたら幸いである。

『バーチャル実験で体得する 実践・品質工学』は図書館に3冊所蔵されています。図書館蔵書検索(OPAC)でご確認ください。